2026-03-07

Rokid Glassesを1ヶ月使ったレビュー

完成度はかなり高いが、見た目は大事。

Rokid Glassesを1ヶ月使ったレビュー

Rokid Glassesは昨年12月に届いてから、大体1ヶ月くらい使ってきた。

スマートグラスはRokid GlassesとEven G2の2台を持って使っている。2026年3月時点の感想を先に書くと、Rokidは、ディスプレイ、カメラ、AI、アプリのつながりがかなり良い。新しい道具を早めに触りたい人にとっては、買う理由があると思う。


Rokid Glassesと他のスマートグラスの比較

自分が実際に比較したのは、Rokid Glasses、Even G2、Ray-Ban Metaの3つだ。Meta Ray-Ban Displayは未使用なので、ここでは比較対象に入れない。

機種カメラディスプレイスピーカー所感
Ray-Ban Meta見た目は自然。音まわりも使いやすい
Even G2軽いが、接続とアプリはまだ不安定
Rokid Glasses機能のつなぎ込みとUIが最もよくできている

Rokidが強いのは、単に機能が多いことではなく、機能同士のつながりがいいことだ。ディスプレイがあるので、AIに聞いた内容を音声だけでなく文字でも確認できる。さらにそのまま追加で聞けるので、会話が途切れにくい。スマートグラスでは「見える」ことの価値が思ったより大きい。

上 Even G2, 下 Rokig Glasses

Even G2と比べると、Rokidはアプリの完成度と接続の安定性が一段上だった。Even G2はときどき途切れるが、Rokidは全体のつなぎ込みがかなり自然だ。Ray-Ban Metaと比べると、Rokidはディスプレイがあるぶんできることが多い。一方で、Ray-Ban Metaの方が見た目は自然で、普段の街中ではかけやすい。

Rokid Glassesの主なスペックは以下の通り。

  • GPT-5 & Geminiが「目の前の世界」を解説するAIアシスタント
  • 見るだけ・話すだけで「通訳と検索」が同時に完結
  • Googleマップ連携によるハンズフリーナビゲーション
  • プレゼンテーションに最適なテレプロンプターモード
  • 1,200万画素の一人称視点(FPV)カメラで「自分の目線」をそのまま記録
項目仕様
重量49g
ディスプレイ両眼 Micro LED / 最大1,500nit / FOV 30°
カメラSony IMX681 / 1,200万画素 / F2.25 / FOV 109° / 撮影インジケーターLED付き
バッテリー通常使用 8〜10時間 / 動画撮影 約45分
翻訳89言語リアルタイム対応 / オフライン6言語
スピーカー2箇所 AACデュアル近耳型指向性スピーカー
通信Wi-Fi 6 / Bluetooth 5.3
OSYodaOS-Sprite(Rokid独自OS)

出典:プレスリリース(PR TIMES)


使った評価

旅行(サンフランシスコ)

1月にサンフランシスコへ行ったとき、1週間ほぼ毎日使った。旅行中はモバイルバッテリーで補充しながら、1日4〜5時間くらいかけていたと思う。

旅行でいちばん使ったのは、やはりカメラと録画機能だった。声だけでシャッターも切れるが、独り言のようになるので基本はボタンで撮っていた。ふと気になったものを、スマホやカメラを出さずにそのまま撮れるのはかなり楽だ。Osmo PocketやInsta360のような専用機ほどの画質ではないが、記録用としては十分だった。特に一人称視点の動画をさっと残せるのは、スマートグラスならではの強みだと思う。

空港連絡鉄道の車内。移動中でもスマホを見ながらそのまま撮れる

地味に良かったのは、撮った写真をそのままディスプレイでプレビューできることだ。デフォルトの主役機能ではないが、実際に使うとかなり便利だった。縦長だけでなく横長でも撮れるので、旅行の記録としての自由度も高い。

サンフランシスコの坂道で撮った夕景。

プライバシーの問題は意識しておく必要がある。カメラ内蔵のメガネをかけていることは、LEDが点灯するとはいえ日中は周囲に伝わりにくい。旅行では便利だったが、人が多い場所や仕事の場で気軽に使える道具ではまだない。

次によく使ったのは翻訳だ。メキシコ料理の店でメニューを見ながら、「これは何か」をその場で確認できるのは素直に便利だった。

翻訳は、音声で聞くより文字が字幕として出る方がずっと使いやすい。実際、1対1で会話したときはかなり速く、精度も高かった。ただし、人が多い場所ではマイクの拾い方や接続状況の影響を受けやすく、常に完璧ではない。静かな環境や、相手と向き合って話せる場面の方が明らかに強い。

店内を見ながら、その場で日本語字幕を重ねて翻訳できる

マップは、治安が不安な場所ではあまり使わなかった。よそ見したくない状況でグラスに視線を落とすのは気が引けたからだ。安全な観光エリアでは徒歩ナビとして使えるが、どこでも万能ではない。

屋外の視認性は、晴天だと少し厳しい場面があった。ただ、全く見えないわけではなく、多少の見づらさを許容すれば使える。室内や日陰では大きな不満はなかった。

普段使い

旅行以外では、家で毎日、休日や平日にも触っていた。1回あたりは2時間前後が多い。調べものをしながら手元を空けたいとき、AIに質問しながら別の作業を続けたいときに重宝する。GeminiとChatGPTの両方を使えるのもよくできていて、カメラで見ているものをそのままAIに渡せるのは便利だった。

ソフトウェアとUIの完成度はかなり高い。届いた時点でも十分使えたし、その後のアップデートも速い。設定項目も多く、単に「面白いガジェット」で終わらず、毎日触ってもストレスが少ない。Even G2と比べると、このアプリ体験の差はかなり大きい。

Rokidアプリのホーム画面。翻訳やナビなど主要機能がまとまっている

マップは旅行では使わなかったものの、日常では割と使う。Even G2と違ってGoogle Mapが使えるので正確でわかりやすい。

徒歩ナビの表示例。進行方向と距離が視界内に重なる

ハードウェア面では、鼻パッドの設計が地味に効いている。Ray-Ban Metaはアジア系ユーザーにずり落ちやすいと言われるが、Rokidは鼻が低くても比較的安定してかけられた。自分は普段からメガネをかけているので抵抗は少なかったが、普段メガネをしない人には装着そのものが負担になるかもしれない。

処方箋レンズが着脱できるのも便利で、レンズを外せば度なし状態で人に貸せる。

内側のインサートレンズは着脱式で、度なしの状態にも戻しやすい

また、最近は外付けの追加バッテリーも出ていて、弱点を周辺機器で埋めにきている感じもある。

携帯用のバッテリーをつけた状態

気になった点

いちばん大きい不満は見た目だ。ディスプレイ部分がEven G2より大きく目立ち、フレーム全体ものっぺりして見える。 レンズの透明感も高級感の面では少し見劣りする。ガラスのような抜けの良さではなく、見た目の印象としても少し損をしている。

のっぺりしている。

バッテリーも気になる点ではある。録画を使うと減りはかなり早い。ただ、これは軽さとのトレードオフでもあるので、現状のカテゴリではある程度しょうがないとも思っている。 最近は外付けバッテリーも出ていて、運用で補える部分もあるので、「致命的な欠点」というよりは、まだ発展途中の仕様として受け止めている。

また、充電ケースはやや開けにくく、細かい部分の使い勝手にはまだ詰め切れていない印象がある。

ケース前面の溝。開けるときはここに爪を引っ掛ける必要がある

機能は足し算、見た目は掛け算

機能の話だけなら、Rokid Glassesは現行で一番完成度が高いと思う。 ただ、どちらかというとメガネをかけているというよりも「ガジェット」をかけているという感覚に近い。

機能は足し算、見た目は掛け算。

機能が8点でも、見た目が2点なら、機能5点・見た目5点のメガネの方をかけたい。どれだけ便利でも、見た目が悪ければ普段使いはしない。これがスマートグラスの難しさだと思う。 街中や電車での使用はまだ難しいと感じている。個人的な基準として「街や電車の中で普通にかけられるか」を置いているが、Rokidはまだそこに届いていない。近くに人がいる場面では違和感があるし、カメラ内蔵のメガネである以上、周囲に与える印象や説明コストも無視できない。

Even G2との比較を横から見ると、Rokidの厚みと主張の強さが目立つ

AI機能についても、便利だからこそどこまで信用してよいかは慎重になる。仕事ではまだ使えないし、普段使いでも何をどこまで預けるかは考える必要がある。Metaも含め、このカテゴリ全体がまだ社会的な使い方を探っている段階だと思う。

値段の話

79,990円という価格は安くはない。ただ、ディスプレイ、カメラ、AI、アプリまで含めた体験で考えると、極端に高すぎるとも思わない。少なくとも「機能の割に割高でがっかりする」という感じではなかった。

日本で技適が取れていて、そのまま使いやすいのも地味に大きい。新しいカテゴリの製品は、機能以前に素直に使えるかどうかが重要だと思う。


まとめ

Rokid Glassesは、今のスマートグラスの中ではかなり完成度が高い部類だと思う。特にディスプレイとアプリの出来がよく、AIを生活に馴染ませたい人にはかなり面白い。カメラも記録用としては十分で、旅行との相性も良かった。

一方で、見た目とバッテリーはまだ弱い。録画を多用すると電池はすぐ減るし、普段の街中で自然にかけられるデザインでもない。AppleやGoogleの参入を待ちたい人、見た目を最優先したい人、そもそも普段メガネをかけない人は、もう少し待った方がいいと思う。

逆に、今買ってよいのは、新しいものが好きで、AIを日常の道具として早めに試したい人だ。このカテゴリはここ1〜2年で一気に進化したが、まだ途中でもある。Rokid Glassesは完成形ではない。ただ、「次のメガネ」に向かう途中経過としては、かなり面白い。

右レンズ側に映り込む表示部。ディスプレイ搭載機らしい構造が見える
項目評価一言
ソフトウェアアプリとUIの完成度が高く、接続も安定
AI・翻訳文字で見えることの価値が大きい。1対1会話では特に強い
カメラ・記録性記録用として十分。一人称視点の動画が撮りやすい
ハードウェア鼻パッドは良いが、録画時のバッテリーは短い
デザイン・外観機能は良いが、街中で自然にかけるにはまだ弱い

スマートグラスが「日常のインフラ」になるには、見た目の問題が解決される必要があると思う。それが実現したとき、Rokidがどのポジションにいるかを見ていきたい。